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2012年10月5日

活気があって、新しい風が吹く。ノスタルジーとはひと味違う・どっぽ村

<コンセプトは「自分の暮らしは自分でつくろう」>



どっぽ村とは滋賀県長浜市小谷上山田町にある、小谷山の山裾に広がる山里です。農家の松本茂夫さんと建築の清水陽介さんを中心に、自分の暮らしを自分の手でつくる人々が集い、働き、学び、暮らす場となっています。若者を受け入れて、お米を育てたり、家も建てています。松本さんによると、そうすることで自分のうちから芽生える自信と安心感が人生をずっと豊かに♡していくそうです。家もお米も買うのが当然、という環境で育った私には新鮮でした。

村には写真のように陶芸工房や染織紡の工房が並んでいます。薪がたくさん積んである「もへじ窯」は陶芸をするところ。釉薬や手びねりで整形された器が並んでいました。そして染織紡「風待草」には糸つむぎ機、草木で美しく染色された糸、機織りなどが並んでいます。他にも木工房「結」もあります。どの建物も間伐材を利用して落ち着いた雰囲気ですが、実はLow エネルギーを実現する雨水利用や温室暖房などの技術が詰まって、新しさを感じさせます。


これらの建物は、どっぽ村の中にある作業所で加工された材木で、自分たちで建てたそうです。びっくりですよね。

<農村に入って行きたい人の入り口・どっぽ塾>

どっぽ村の主軸となる「どっぽ塾」は、研修事業です。ここでは、農業と建設の両方を3年間の仕事を通じて身につけオリジナルの人生(独歩)のスタートを切れるようにする研修事業です。現場で直接学べるのがポイントですよね。農業部門代表の松本さんからどっぽ塾について「手取り足取りではなく、ともに働きながら次どうしていくかを探る」とお話され、「教える、教えられる」関係ではなく、「目線が一緒」なのだと強く印象に残りました。また学費を支払うのではなく生活支援金を受け取れるシステムとなっています。ただ学ぶだけじゃなく、「働く」ということを実際に経験することで、仕事にも責任が生まれますし、「独歩」できるようになっているのです。どっぽ生が地域になじむことができるよう、また、地域に移住したい子の一歩踏み出すための入り口になれば、と松本さんは考えておられるそうです。
こうした取り組みは、民間独自での就労支援や移住促進事業です。そのきっかけは?と尋ねると、松本さんは「さぁ〜、そんな理由なんてあるかな〜」とちょっと目を上にやってから仰いました。それは松本さんが、この地域に帰ってこられて米作りなどをされていたとき、若者の流出や地域の高齢化の中で、労働力がまったく足りなくなっていったこと、だから労働力を入れて、それで食べられなければならないこと、でした。松本さんは「現在の農業はたくさんの補助金が入っている。それは産業としては考えられないこと。自分はそれを疑問に思っている。だけど農業は「民」だけではない。集落の伝統とか畦のこととか「公」の部分が大きくて、そこをどうしていくかが大事」と語られました。それは「公」が、行政だけではなくて、民間も担っていくべきだ、というとてもシンプルで自然な立ち位置なのですね。

<「誇りをもって働く」ことに向き合っている、どっぽ生>

 


私の会ったどっぽ生の方々は、写真にある大きな機械をつかって手際よく仕事をこなしていました。働いて、汗をかいて、木陰で休憩して麦茶を飲む、自分の望んだ生き方ができている彼らはとてもいきいきしています。どっぽ村にすっかりなじんだ姿が素敵でした。取材はこの休憩所でしたが、どっぽ生に混じって、私も梅ジュースをいただきました。暑い日だったので体にしみわたりました。ちなみに左手にあるピザ用の窯、手作りだそうです。
村で働く人は、私が思っていたより若い方が多く、私と同じ大学の卒業生の先輩方もいらっしゃいました。またアメリカの大学を卒業して、ニューヨークの金融会社で働いていた方も研修されていて、作業所で手際よく黙々と働いておられます。私のまわりでは、生活パターンが皆同じようななかで、どっぽ村の方々のような行き方もあるのかと、同大学先輩とお話をして、改めて実感しました。
卒業したどっぽ生はそのままどっぽ村にいたり他の地域に行ったりと様々な進み方をしています。女の方もいたそうです。農業をしつつ建築もしたい方、建築の仕事をしながら農業もしたい方はぜひどっぽ塾へ♫!専従者も募集されていますよ。http://doppo.jpn.org/index.html

 

<トンボが飛ぶ田んぼと山々、セルフビルドであたたかさのある村>

 



実際にどっぽ村を歩いてみました。畑、田んぼ、そして山々に囲まれた落ち着いた雰囲気の村です。たくさんのとんぼがとんでいて、最近こんな大群のとんぼを見てないなと気づきました。
自分たちでつくった家は独特のあたたかみがありました。実際につくった方々は私よりもさらにその家に安心感とあたたかさをかんじているのではないでしょうか。うらやましいことですよね。自分で建てるセルフビルドに興味のある方、屋根や柱などの重要な部分は大工さんに頼み、壁を自分たちで塗るという形式もありますよ。

 
写真はどっぽ生の住む家の壁です。漆喰は自分たちで塗ったそうですよ。落ち着いていて、味がありますね。ぜひこのあたたかみを実際に体験してみてください。

 

 


農業に興味はあるけど実際に農村に入って行くのは難しい、という方も、どっぽ村では1泊1人1000円で家をまるまる1軒貸して♥くれます。写真からもわかるようにこの家の柱から階段から床からとても雰囲気がよくて、懐かしい気持ちになります。ご飯はでませんが、一緒に農作業が体験できます。その他、木工、陶芸、染め織りなどのワークショップも定期的に開催しておられますし、収穫祭などのイベントなど、気軽に訪れることができますね。村の方々とお話しして、違う生き方に触れてみませんか。

【どっぽ村 Data】

address: 〒529-0301
滋賀県東浅井郡長浜市小谷上山田880
農事組合法人大戸洞舎内
上山田どっぽ村事務局
tel: 0749-78-2164(農)大戸洞舎/代表・松本茂夫
090-1908-1915 エコワークス/代表・清水陽介
HP: http://doppo.jpn.org/index.html

滋賀県長浜市小谷上山田町1240

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